【産地と豆種】特別編:ゲイシャ 業界初の「豆」ブランド!(エチオピア~コスタリカ~パナマ)
こんにちは。
アヴァント コーヒー部、【広報】です。
今回は、特別編として
「ゲイシャ」
を取り上げます。
もっと早く取り上げてもよかったかもしれないんですけれども、この「ゲイシャ」というコーヒー豆だけは、日本人からしたら農作物にとっては当たり前でコーヒーに相当特殊なブランディングが行われているので、先にイエメンから書いた というくらいの豆種でして・・・。
そんなゲイシャの背景を詳しく書こうかな?と思います。
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本来だったら、ブランディングとしてはこの「ゲイシャ」が農作物としては正しいスタイルになるんじゃないかな?と思っているくらいなんですけれども
・まず、品種が特定される。
・いろいろなエリアで実験的に生育・栽培される。
・商品として特定のエリアが品評会レベルにまで仕上げる。
・その独特な味が認められる。
・さらに産地が広がる。
・商品として確立した農園・生産エリアが老舗ブランドとして価値を確立する。
・あわせて豆種ブランドも価値が高まる。
・豆の”品種”でのブランドが(ほぼ)確立!
というような流れが、初めて生まれたのが、ゲイシャ といえます。
これはコーヒー業界やコーヒー愛好家の嗜好性が1ステージ高まったことを意味すると、個人的には考えているんですよね。
このゲイシャ種が、ある種特異点になって、コーヒーのブランディングも変わってくるのかもしれないのですよ。
ドリップコーヒーにおける「スペシャルティコーヒー」と「日常のコーヒー」という2極化が起こるのじゃないかな。と。
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品種「ゲイシャ」は、動いた。
豆の「品種」としてのゲイシャについては、以前、アラビカ種についての記事ですこし触れてます。
自分の記事なのでそのまま引用しつつ追記していこうかと。
豆の原産地は、エチオピア。ゲイシャは、エチオピアのゲシャ地区にちなんで命名された”品種”です。読み方としては、ゲイシャ、表記は Geisha が定着している様です。
エチオピアにはたくさんの「交配種・雑種」があり、さらにエチオピア産コーヒーはこうした交配種・雑種が混ざって出荷されるためいろいろ複雑な味がする と言われているんですが、エチオピアのコーヒーについても徹底的に品種の分類を行っているんでしょう。もともとは国内の伝承のようなものがスタートだったかもしれません・・・。
このあたりが結構新しいことなのにあまり伝わっていないのですが、おそらく「秘密」に近い情報なんだろうな・・・と。知る人ぞ知る、を商品にまで仕上げていくというか。
ゲシャ村の「ゲイシャ」が、コスタリカのコーヒー研究所で研究されます。
コスタリカのコーヒー研究所は、コーヒーハンター川島氏が学んだ「エルサルバトル国立コーヒー研究所」とも交流があった、優れたコーヒー研究家たちが数多く所属する研究所のようです。
ゲイシャを研究するに至った経緯は、不明。
まあそれくらい”品種”へのこだわりはもともと病気耐性や収量中心である意味「消費食材」なわけで「嗜好品」ではない扱いなんですよね。生産量からしても情報量はそちらのほうが多くなるというのもあるかな?
情報の少なさも、そのスペシャルティ感をより醸成する気もしますが・・・。そんな中でも、コスタリカという国は、アラビカ種以外の栽培を禁止するほどに「おいしい」コーヒーの「継続・安定した生産」にこだわりのある国。おいしい豆 というところへのこだわりがおそらくもっとも強いコーヒー産地の1つなのでしょう。
コスタリカのコーヒーや、コスタリカ「ゲイシャ」について詳しい記事がありましたので共有します。
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コスタリカのコーヒー研究所によって研究成果が報告され、香り高い、独特な味覚のゲイシャ種の情報が提供されたのでしょう。そのゲイシャが、パナマのエスメラルダ農園でも栽培されるにいたります。
パナマ エスメラルダ農園 そのものはゲイシャを品評会に出品したことでその名前が有名になっていくのですが、その場所についてかかれた情報は比較的少ないのですこし書いておきます。
エスメラルダ農園は、「ボルカン=カンデラ」地区という、バル火山の山すそに広がるエリアに存在します。ここにも火山が登場するんですけれども・・・やはり火山性の土地にはミネラルが豊富であり、標高は1200-1500m程度。ほかの国の格付けでいっても最高レベル~そのすぐ下くらいのレベルです。適度な標高とミネラル豊富な土壌が味を支えているのは間違いありませんね。
もともとエスメラルダ農園は「カトゥアイ」のみを生産する単一品種の農園でした。そんな農園で数年間に渡り収穫・研究を重ねて味を磨かれていくゲイシャ。そのゲイシャを、パナマ国内の品評会に出品。
この品評会はパナマスペシャルティコーヒー協会が開催する、「ベスト・オブ・パナマ」という品評会です。パナマの協会が、コーヒー価格の下落に悩みパナマ産コーヒーの価値を対外的に広めていき、価格の高値安定を狙って実施した品評会なのですが、この方法がまた恐ろしく珍しい方法。
まずは様々な農園の自身の一品をテイスティング。その味の評価や情報を「商品詳細」に記載した「インターネット・オークション」に出品して、流通業者に価格を決めてもらう!という方法をとったのです。
品評会は例年開催され、エスメラルダ農園のゲイシャは2004年から2007年の4年連続、2008年は逃すものの2009年・2010年とまた2年連続で優勝。2013年にはゲイシャ部門で優勝!と、勝ちまくるわけです。価格は、オークションですのでどんどん高騰。
どんどん歴史的な価格更新が行われ、一般的なコーヒー豆の約100倍の価格をつけるまでになりました。
価格は、2004年は1ポンドあたり21ドル。2010年にはなんと170ドルまで上昇。2013年の部門別では超少量ロットの”ナチュラル”製法の一品が、350ドル!に。卸値で100gあたり7700円!
結果、こうした驚くほどの”高評価”を得たことがきっかけで有名になります。
こうして「パナマ・エスメラルダ農園 ”ゲイシャ”」としてブランドが確立していくのです。過去のコーヒーブランディング手法だと、「パナマ」とかの国名、「ボルカン=カンデラ」のような地名や「バル」のような火山とか山脈とかの名前がブランド名として有名になる という流れが一般的なのですが・・・。
オークション自体が「ベスト・オブ・パナマ」としてパナマのブランディングが確立する手法をとったことで、農園・品種をブランディングするに至ったのでしょう。そうしてパナマ産のコーヒー全体の評価も高まるという、国・産地・品種すべてによい影響となるブランディング・マーケティングが成功したのでした。
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こうしてパナマ エスメラルダ農園のゲイシャがブランディングとして成功すると、ゲイシャ種そのものが脚光を浴びます。それほどに豆の味 がある、というかわかる品種だったのです。
そのゲイシャは隣国コスタリカでももちろん生産され、増産に至ります。
コスタリカではアラビカ種以外の生産禁止など種の維持・保存・継続性などに力を入れる国。環境もパナマすぐ隣という立地条件もあいまって、こちらのゲイシャもすぐに安定高値を付けるに至ります。
こうしてパナマ国内およびコスタリカでのゲイシャ増産に次ぎ、ほかの中南米エリアでもゲイシャの生産国が増えるに至り、価格も落ち着いた価格でいただくことができるようになってきました。(まだまだ高級ですけれどもね)
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いい形のサスティナブルコーヒーになり得るね。
ゲイシャは歴史も新しく、ほかの国でもどんどん生産されています。希少種の域を出るほどには増産せずに、収入アップのための豆としてブランドを維持することができれば・・・無理やりフェアトレードするのではなくて、いい形での”サスティナブル”コーヒーになり得る。で、この方法でほかの「特徴のある豆」をイギリス国立植物園や各国の国立コーヒー研究所の研究結果などを合わせてテイスティングや品種の固定などを行っていろいろな豆をスペシャルティ化することができれば、なお素敵においしいコーヒーを味わうことができる世界になるのかなー と。
夢があるなー。
やはりブランドに”弱い”・・・(ブランドが強い が正しいかな?)日本ではエスメラルダ農園 ゲイシャ になっちゃうんだろうなぁ・・・と思ったら、案の定こんな感じです。
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過去記事のゲイシャ情報はこちらから。